「森のイスキア」の初女さんが残してくれた、これからの時代に大切な生き方
「森のイスキア」の中で、手作りの美味しい食事と穏やかなお話で人々を癒し、救ってきた日本のマザー・テレサ、佐藤初女さん。
その教えは亡くなった今も、たくさんの人々の声や書籍などで語り継がれています。
今回は佐藤初女さんの生き方から、今の私たちの生き方を考える本、「限りなく透明に凛として生きる~『日本のマザー・テレサ』が明かす幸せの光」を、小川あゆみがお話しします。
以前、「森のイスキア」で食事を通して多くの人の心を救った佐藤初女さんの子育ての本をご紹介しました。
多くの人を受け止め、癒す初女さんの在り方はどのようなものでしょうか。
今回は、初女さんの「生き方」の本をご紹介します。
「限りなく透明に凛として生きる~『日本のマザー・テレサ』が明かす幸せの光」
佐藤初女著 ダイヤモンド社
・「透明」であること
初女さんは「透明」であることが必要だと伝えています。
「透明」であるというのは、「自分が、自分が」というものを押し出すのではなく、ありのままを受け止める在り方です。
初女さんが「透明」な気持ちで寄り添うからこそ「森のイスキア」を訪れた人たちは自分を受け止めてもらえたと救われたのではないでしょうか。
たとえ、話をしなくとも、その人という存在のありのままをそのまま受け止める。
そうして受け止めてもらえた人は素直な気持ちになり、自分の中にある答えに辿り着きやすくなる。
必要なのは、その人が自分の中にある答えを自分で見つけること。
透明になって寄り添うことが、その助けとなるそうです。
この、「透明」は「いのちのうつしかえ」であるということは、お料理の最中に得たものだそうです。
緑の野菜をゆがくときに、ひときわ緑が輝く瞬間がある。その時に引き上げて食べると美味しい。そして、透明になった野菜に味付けすると、野菜が味を沁み込み美味しくなるそうです。
人と人のふれあいも、自分を押し通そうとするよりも、「透明」なもの同士で関わり合うことができたら、それが「いのちのうつしかえ」となって循環していくのかもしれません。
・「凛」として生きること
「透明」になってなんでも受け入れてしまうと、自分と言うものが無くなってしまいそうに感じるかもしれません。
「透明」で在りながら自分の信念を持つことで、一度素直に受け入れたことを自分の中で考えることができるそうです。
初女さんにとっての芯となるものは、信仰・祈り・生活であったのではないかと感じました。
自分にとって芯となる信念はなんだろう? と感じてみることも大切かもしれません。
・毎日の生活の中に、祈りや信仰は宿る
祈りには手を合わせて祈る「静の祈り」と無心に何かに取り組む中での「動の祈り」があるそうです。
教会で静かに手を合わせることができなくても、目の前のことに誠実に向かい合っていくことも祈りとなるそうです。
初女さんは祈りについて、このようにおっしゃっています。
「祈りとは自分のためではなく相手のためにすることなので、生活すべてが祈り」
忙しい、忙しいと時間に追われて、なんでも急いでしまうことが多い現代。生活のすべてのことに心をこめて丁寧に向き合うことが大切なのかもしれません。
待つこと、じっくり時間をかけること、丁寧に手をかけ、心をかけること。「はい」と相手を受け入れることが、自分を受け入れることになる。
そんな言葉が心に染みわたります。
天国に召された初女さんが、本を何事も素直に受け止める生き方を教えてくれるように思いました。
この本では、哲学者・神父・産婦人科医と違ったジャンルから初女さんと「透明」であることについての対談も掲載されています。
対談を通して、互いに「透明」であるから成り立つ空気感のようなものが伝わってきました。
現在、紙媒体の本は書店で入手することはできませんが、電子書籍として復活しています。復活する価値のある本だと感じました。
私たちは自分自身を含め、多くの人・事物と交わって生きています。
初女さんの言葉は争わず、互いのよさを活かしあう在り方の指針となるでしょう。
「生活は祈り」を体現されたからこそ、初女さんがこの視点を日々のお料理から得られたのはないでしょうか。
日々の暮らしを丁寧に生きる、その大切さを思い出させてもらえる本です。
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