自信なんて持たなくていい~弱味を見せられない環境にいる方へのメッセージ~
4月から新しい生活、新しい仕事を頑張っている皆さん、今は覚えることが多かったり環境に慣れなかったり大変なこと多いと思います。時には上手く行かなかったり失敗が多かったりで、自信を無くすこともあるでしょう。
よく自己啓発セミナーなどで「根拠のない自信を持ちましょう!」「最高な自分を想像しましょう!」などと元気な声で言われますが、私にはそれが出来ません。現に能力が無い自分をどうやって肯定しろというのだろう?と苛立ちを覚えます。「元気出していこー!」という体育会系な感じが私には肌に合わないのですが、今回は「自信なんて持たなくても大丈夫」という内容でマインドフルネス/心理カウンセラーの岩田英朗がお伝えします。
自信なんて持たなくていい理由~弱味を見せられない環境にいる方へ~
1、成長するまでくじけなければいい
2、自力で頑張らなくていい
3、弱さを見せられない環境にいる人へ
4、存在を委ねるマインドフルネス
出典: Pixabay
成長するまでくじけなければいい
人に迷惑を掛けるのは申し訳なくて死にたくなりますが、仕事の能力はトライ&エラーを繰り返していけば自然と身に着くものです。その経験と実績が積み重なれば、いつの間にか自信を持っている状態に辿り着きます。大切なのは、その状態になるまで『心がくじけずにいること』です。
それには『出来ない自分を許すこと』と、『経験を積み重ねている課程に目を向けること』が必要です。これは頭で分かっても実践するのは難しいので後でワークをご紹介します。ただ、成功か失敗かという結果に一喜一憂しながら失敗を繰り返していると心が折れやすいです。落ち込んで気が塞ぐ時間も必要ですが、そればかりだと周りにあるヒントに目が向かなかったり、やる気が上がらなかったりで、本来あなたの持つ能力を発揮するのが難しくなります。
人は誰でも自分の心を安らかにし、時に奮い立たせ、自分の夢を実現する力を備えています。これを自己実現傾向と言います。しかし、失敗が続いて「本来こうあるべきだ」という状態にいつまでもなれないでいると、どんどん自信を無くし、自己実現傾向は失われてしまいます。こうした時は弱った自分を奮い立たせて頑張り続けるより、「本来こうあるべきだ」という状態を手放し、「いまの自分には能力が無い」と受け容れた方が結果的に上手く行きます。なぜなら、自分を受け容れられた状態で落ち着いていられれば、心が折れずにトライ&エラーを繰り返すことが出来るからです。
『自分を受け容れる』『出来ない自分を許す』というのは難しいことです。ですが、人によって身に着くまでの時間が違いますし、失敗を少なく成長していくことが必ずしも良いとは言えません。エラーの数が多いほど経験に深みが出るし、立場が上になった時、チーム全体が機能するよう気配りが出来るようになります。決して小さな頃から優等生である必要はある必要はありません。
自信を持とうとしなくて大丈夫です。失敗が多くてもいいです。ただその結果ばかりに目を向けているなと気づいたら、今は経験を蓄積しているんだってこと思い出してください。そして、受け容れるのも難しいです。落ち込むくらい傷ついたら、職場の人でも友達でも私でもいいです、誰かと分かち合ってみてください。できれば職場の人と気持ちをシェアできると、チームを一緒に成長させていくチャンスにもなります。
自力で頑張らなくていい
全部自力で何とかしようとし過ぎていませんか?自分の出来ないところに目を向ける癖があると、それだけで自信が無くなってしまいます。
自分の弱さは人に委ねることができれば、仲間を、繋がりを作ることができます。私は仕事場に自宅のカギを置いてきてしまうくらい抜けている人間なので、周りの人には「何か忘れてないか確認して!」とお願いしています。また忙しいとパニックになる傾向になるので「いま動揺しています!」とちゃんと周りに伝えるようにしています。
心配事を投げつけるのではなく、いまの自分の状態を報告するように伝えると、相手は優しい気持ちを返してくれます。そして私のミスは誰かが補ってくれると安心感を持てると、自分の得意なことに専念できます。その代わり私は、仲間が出来ないことを率先して請け負うようにしています。それぞれが長所を生かして短所を補い合えば良いチームになります。
弱さを見せられない環境にいる人へ
しかし、それが出来ずに自分の弱さを克服しなければならない、だから自らを武装するようにスキルを身につけなければいけない、自信を持たなければならない、そんな方からお話を伺うことは多いです。能力が無いと仕事を失う、そんなプレッシャーに押しつぶされそうな人も、「強くなければならない」と思って弱味を見せられない、それでずっと気を張っている人も、これまでよくがんばってこられましたね。
その環境ごと変えるには膨大なエネルギーが必要になるので、今回はちょっと一息、自分の弱さを委ねて気持ちがゆるむようなワークをお伝えします。
存在を委ねるマインドフルネス~GAP~
私は「肩の力を抜いてください」とは言いません。「指先に意識を向けてみてください」と伝えると、自然と肩の力が抜けます。今回は、張り詰めた気持ちを地面に流していくイメージのワークをお伝えします。
最初に言葉の説明です。
G…grounding/グラウンディング
体の重みを地面に預けていくイメージを持ちます。1人で気張る必要はありません。周りの人や物に自分の重みを預けてみましょう。
A…awareness/アウェアネス
自分の呼吸・体の状態に意識を向けます。快適だったり不快だったりニュートラルだったりします。
P…presence/プレセンス
いま、ここに存在していることに意識を向けていきます。
マインドフルな状態は「なろう!」と思ってなるわけではなく、存在を委ね、支えられ、いまここにある状態に意識を向けていると、気づいたらマインドフルになっている、という感覚です。今回はG→A→Pという順番に意識を向けてマインドフルネス瞑想をしてみましょう。
G~grounding
どのような体勢でも良いので、体と地面が接地している部分に意識を向けます。自分の体の重みを地面に預けていきます。すると今度は地面の方が釣り合うように私を支えてくれていることに気づきます。意識を広げられる人は、椅子、床、建物の構造などに意識を向けてもよいでしょう。私たちは頑張って自力で浮いているわけではなく、常に何かに支えられています。誰かが私たちが快適に過ごせるように努力をしてくれています。
A~awareness
自分の呼吸・体・感覚に意識を向けます。3~5呼吸くらいそのままにしてみます。何か体の部位が反応しているようでしたら、そこに微笑みを向けてあげましょう。浅い呼吸でも深い呼吸でも、自分がどんな呼吸の仕方をしたいか感じるようにしてみましょう。
余裕があれば、体全体をスキャンするように意識を全身に向けていってもよいでしょう。思考や感情は常に体の状態と密接に関わっています。特定の感情の時、特定の場所がうずいたり痛んだり温かくなったりします。そこに微笑みを向けましょう。それが苦しいときは温かい場所、優しい気持ちがこもった場所を探しましょう。体の内部になければ外にあるかもしれません。
P~presence
G,Aも併せて、いま、ここに存在していることを感じます。何もしなくても自然と息が入ってきます。心臓が動いて体は生きていて、それを支えてくれる地面があります。
見るのが辛い場合は、自分から見ようとし過ぎず、地面から、空間から自分が見えているという感覚も持ってみましょう。それでいて、そのままの状態でも許されています。大丈夫です。
※このGAPをプレッシャーのかかる場所、自分の苦手な場所で行うことが出来ると、落ち着いてあなたらしさを発揮できるようになります。ストレス源と程よい距離間を持つことが出来ます(これをダジャレで「ギャップができる」と師に教わりました)。どこにでも自分を支えてくれ、安心させてくれる味方がいます。自分自身の足で立っていることができます。
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理想と現実のはざまを埋める
自分の弱さを見せられない環境だと、周りの人は敵であり、自分の存在を委ねるなんて出来ないです。そうするとどんどん気が張り詰め、息が苦しくなってきます。そのため今回は、ただ存在しているだけでもいい、気持ちを委ねたら支えられるものがある、そんな感覚をもっていただきたいなと思い、GAPのワークというか、概念をお伝えしました。成功や失敗に一喜一憂しがちな時にも、一度立ち止まってGAPと順番に感じてみてください。仕事の結果は自分の存在を傷つけるものではなく、ただ経験として積み重なっているだけです。
自信なんて持たなくても、ただ存在しているだけで大丈夫です。ですが、それは理想かもしれません。現実にそう感じられる場所はどのくらいあるでしょうか。せめて私は「ここだ」と思ってもらえる時間と場を提供したくて、心理カウンセラーをしています。
自信を持たなくていいという理想と、自分を奮い立たせている現実の、その間を埋められたらいいなと思い、お伝えしてきました。よかったらシェアして感想を聞かせてくださいね。
岩田英朗でした。
マインドフルネス/心理カウンセラー:岩田英朗