ウラスピナビで日本酒と神様をめぐるを書き始めた頃にご紹介した、「空(くう)」とともに、筆者が日本酒ナビゲーターを目指すきっかけになった日本酒があります。それが、今回ご紹介する「風の森(かぜのもり)」です。
このお酒を最初に飲んだのは、以前ご紹介した大神神社(おおみわじんじゃ)を訪れたとき。
日本酒なのに、シャンパンのように口の中で炭酸が軽やかにはじける感覚に衝撃を受けたことを覚えています。
「風の森(かぜのもり)」をお土産に持って帰ろうと、奈良じゅうの酒店を回りながらも買えなかった4年前から、私の日本酒探検は始まった気がします。今回は、そのきっかけになった「風の森(かぜのもり)」を調べるうち知った清酒発祥の地というお寺もご紹介します。
日本の大地からの恵み ~日本酒と神様をめぐる~vol.9
すっぴんの酒「風の森(かぜのもり)」と清酒発祥の地・正暦寺(しょうりゃくじ)
◎油長酒造(ゆうちょうしゅぞう)株式会社
風の森 秋津穂(あきつほ)65% 純米しぼり華 無濾過無加水 生酒 を味わう
ご紹介する風の森は、大変種類が多いお酒です。今回どれをご紹介しようか大変迷ったのですが、風の森を語るうえではずせないお酒だなと感じ、こちらを選びました。
秋津穂(あきつほ)は、お米の名前で、奈良県で作られている飯米、食べるためのお米です。お米を精米し、削って使うお酒造りには、通常、お米自体が大きく、お米の真ん中の白い芯白(しんぱく)という部分の大きい酒米(日本酒好適米)を使うことが多いのですが、こちら秋津穂は飯米。
油長酒造の山本社長は以前インタビューで「秋津穂は奈良の飯米ですが、風の森好適米と呼びたいくらい、風の森らしい味わいが出せるお米です。」と語っていました。
飯米である秋津穂を贅沢に35パーセント磨いたお米と、金剛葛城山系の超硬水といってもいい硬度214mg/L以上の深層地下水で仕込まれた風の森は、こちらの秋津穂65純米以外も、大変すっきりした味わいが特徴の一つです。
加えて無濾過、無加水なため、もろみ発酵由来の自然の炭酸ガスが瓶の中に残っていて、口に含んだ時にプチプチと心地よくはじけるのも特徴の一つです。その特徴こそが、すっぴんの酒と言われる由縁。濾過もせず、アルコール度数調整の水も加えていない、出来立てをタンクから出した状態のまま瓶に詰めているからこそ、味わえる爽やかさなのです。
また、この風の森、一瓶で二度楽しめるといわれています。開栓してすぐは、先ほどはなしたプチプチ感を楽しみ、その炭酸が抜けると米本来の豊かな甘味や旨みが際立ってくるからです。
そうした二度美味しいが、どうしてできるかも油長酒造さんのホームページには、紹介されていますので、ぜひ、ご覧になってくださいね。
風の森をより楽しむために重要なお知らせ
http://www.yucho-sake.jp/Site/kazenomori_5.html
種類が多いとご紹介した風の森ですが、今回ご紹介の「秋津穂65% 純米 生酒」たいへんリーズナブル。720mlで、1000円程度。この旨みと、フレッシュな味わい、切れ味で
この価格、筆者の記憶ではまずないです。そうしたコスパの良さからも、日本酒初心者という方にも、自信を持ってお勧めできるお酒です。
◎「笊籬採り」と「氷結採り」油長酒造(ゆうちょうしゅぞう)独自の技術
風の森を仕込む油長酒造さん、杜氏さんは30代、麹室(こうじむろ)の責任者も若い女性で、スタッフの平均年齢30歳以下という蔵です。
そうしたこともあってか最先端技術を用いて、酒造りをされています。お酒は通常、寒い時期に年一回仕込むものですが、こちらの蔵は最先端の温度管理で通年通してお酒を仕込むことができるそうです。
年に何度も仕込むだけでなく、独自の技術もいくつか取り入れていらっしゃいます。その一つが、「笊籬採り(いかきどり)」です。
室町時代から江戸時代の文献にある、笊籬(いかき)という清酒造りの技法を現代風に進化させた搾り方だそうで、細かい網目のステンレス製の長い筒を醪に沈め、浸透圧で酒と酒粕に分離させ、それをタンクに移すことで、極力空気に触れず酸化を防ぐことができるそうです。
現在、風の森の約5%がこの笊籬採りで搾られています。
↑の写真は、笊籬採りで搾られた風の森こぼれ酒
その、笊籬採りより更に進化した搾り方も開発されていて、それが「氷結採り」です。
笊籬採り以上に、聞きなれない言葉ですが、それもそのはず、日本酒業界初の試みで特許を申請しているそうです。
アルコール度数が18度の場合、-7〜8度で酒は凍りますが、油長酒造さんが、独自に設計した発酵タンクでは、そうした温度であっても、モロミ中の微生物の働きをコントロールすることができるのだそうです。無酸素、無加圧状態でもろみを酒と酒粕に分離させ、上澄みの酒の部分を取り出すという技術で、酸素だけでなく、濾布、木、金属、樹脂などと全く触ず、味わいへ影響がまったくないすごい技術だそうです。
そうした日々の努力のおかげで、タンクから汲んだばかりのお酒を、奈良にいない我々も味わうことができるのですね。素晴らしいことです。
◎清酒発祥の地・正暦寺の歴史と酒造りを紐解く
口噛み(くちかみ)と呼ばれ、米などの穀物や木の実などを口に入れて噛み、それらを吐き出し放置して発酵させる技術から始まったといわれる酒造り。口噛みで仕込むことがなくなっても、お酒といえば、どぶろくのように白濁したものが昔のお酒でした。
それを、「三段仕込み」や麹と掛米の両方に白米を使用する「諸白もろはく造り」、酒母の原型である「菩提酛ぼだいもと造り」、さらには腐敗を防ぐための火入れ作業行うなどの技術を生み出し、清酒発祥の地と言われている寺が奈良にあります。
それがタイトルにもある、大本山 正暦寺(しょうりゃくじ)です。本来、寺院での酒造りは禁止されていたのですが、神仏習合の形態をとる中、神や仏へ献上するお酒として、地元で取れる米を用いて寺院で自家製造されていました。その技術は大変高く、先ほど話した数々の技術が生まれ、白濁したお酒が、澄んだお酒になっていき清酒が生まれました。
そして現在、「奈良県菩提酛(ぼだいもと)による清酒製造研究会」に所属する奈良県の蔵元さんが、正暦寺で昔からあった酒母(しゅぼ)を持ち帰り、その酒母を用いて清酒を造り、正暦寺福寿院で販売しているそうです。
「奈良県菩提酛(ぼだいもと)による清酒製造研究会」には、風の森を仕込む油長酒造さんも所属していて、油長酒造さんの別銘柄である「鷹長(たかちょう)」が、正暦寺の酒母で仕込まれています。
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