愛知県の東北端の山あい、静岡との県境にも近い奥三河という土地に、最近ブームになっている「蓬莱泉(ほうらいせん)」というお酒を仕込む蔵、関谷醸造さんがあります。

この蔵は、元治元年(1864年)創業という長い歴史のある醸造所でありながら、全国でもトップレベルの機械化と研究技術を誇ります。
しかし、どこまで機械化されても、日本酒の繊細な味わいを引き出すのは、人であり人の知恵。人智が結集された伝統と最新の技術の融合から生み出される、筆者が日本酒ナビゲーターを目指すきっかけになった日本酒と、その地に伝わる徳川家康出生にまつわる伝説を、今回は前後編に分けてご紹介します。

日本の大地からの恵み ~日本酒と神様をめぐる~vol.3(前編)
奥三河の名水で仕込む 関谷酒造 蓬莱泉 空

◎関谷醸造(せきやじょうぞう)
蓬莱泉(ほうらいせん) 純米大吟醸「空(くう)」を味わう

今回ご紹介するのは、筆者の出身地でもある愛知県の日本酒。
日本酒=愛知というイメージはあまりないかもしれないのですが、最近ブームになっているブランドがいくつもあり、隠れた名酒の産地です。

愛知の日本酒というと、萬乗醸造(ばんじょうじょうぞう)さんの「醸し人九平治(かもしびとくへいじ)」などは、最近、とても有名なので、ご存知の方も多いでしょう。この蔵は、自社で兵庫播磨、黒田庄(くろだしょう)という、山田錦という酒米の育成条件が揃う貴重な土地に田んぼを持っていたり、出来上がった日本酒をワイングラスで楽しむとこと推奨したりと日本酒に革命を起こしている蔵です。

また、これからブームが来ると筆者が思っている愛知の日本酒に、丸石醸造(まるいしじょうぞう)さんが仕込む二兎(にと)という、新しいお酒があります。
「二兎追うものしか二兎を得ず」、をコンセプトに「味と香り」・「酸と旨み」・「重いと軽い」・「甘いと辛い」といった相反するものをベストなバランスになるよう試行錯誤したというだけあって、筆舌しがたい味わいの深いお酒です。機会があれば、こちらもゆっくりご紹介しましょう。

関谷酒造さんの蓬莱泉 純米大吟醸「空(くう)」

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漢字一文字のラベルは、インパクトがあります。

空という名前は、仏教用語や空手用語の「空の境地」にちなんだもの。
般若心経(はんにゃしんぎょう)にも、「色即是空(しきそくぜくう)空即是色(くうそくぜしき)」と出てきます。
色即是空(しきそくぜくう)は、この世の万物は形を持つが、その形は仮のもので、本質は空(くう)であり、不変のものはないという意味です。
この概念は、毎年同じ方法・技術で仕込んでも、その年の温度や湿度といった条件から、まったく同じ味にはならない、日本酒造りにも通じるのかもしれません。

空を造る酒米は、掛米(かけまい)、麹米(こうじまい)ともに山田錦。掛米は40%、麹米は45%と共に非常に精米歩合が高く、雑味の少ないすっきりした味わいです。香りも甘い果実のような香りがふわりと鼻に抜けて、多くの女性が好みそうなフルーティな味わいです。

筆者は、このお酒を、数年前の年末、実家で味わいました。
なかなか手に入らない大変貴重なお酒だと言って、もったいぶって父が出してくれたのですが、旧来の日本酒のイメージを持っていた筆者にとって、空のこの爽やかさとまったく癖のない味は、衝撃的でした。
この衝撃がきっかけとなり、日本酒ナビゲーターを目指し今に至ります。

この「空」、入手困難と書きましたが、このお酒を購入する場合、基本、蔵に直接出向いて予約し、予約後仕込まれ出来上がったものを送っていただくという流れになります。
予約してからお酒が仕込まれ、届くまで待つ楽しみも愛好家には好評のようです。
そうした背景もあってか、特約店である酒屋さんに卸される本数も非常に限られているそうです。もしも酒店で見つけた場合は、とてつもなくラッキー!即購入をおすすめします。

蓬莱泉 純米大吟醸「空」予約方法
https://www.houraisen.co.jp/ja/product/reserve.html

後編は紹介した蓬莱泉「空」が醸されている関谷醸造さんのお話からスタートします。

WRITTEN BY らぶ らどらいと

らぶ らどらいと
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