前編では、無農薬米、寺田本家 香取90・香取80・五人娘純米吟醸の味わいをご紹介致しました。ほんとうに唸るくらいの美酒です。
後編では、この美酒を造り出した寺田本家さんの「もと擦り唄(もとすりうた)」と、紹介した日本酒、香取の名前の由来となった地元の香取神宮にお祀りされている津主大神(ふつぬしのおおかみ)が登場する、国譲り神話をご紹介します。
◎無農薬・無化学肥料で作られた米を昔ながらの「生もと仕込み」と「もと擦り唄(もとすりうた)」で醸す 寺田本家さんの酒造り
今回ご紹介した寺田本家さんは、麹などの菌本来の力を最大限に引き出す江戸時代の酒づくりを復活させたこだわりの酒蔵です。寺田本家さんは、1673年頃の創業で、歴史の長い酒蔵ですが、ずっと自然な酒づくりをしてきた訳ではなく、経営効率を重視して添加物を入れ「安く、速く」酒を造る時代もあったそうです。
戦後からバブルあたりの日本酒離れにより、寺田本家さんも経営不振で苦しい時代があり、それを乗り越えた平成に入り、先代の当主・寺田啓佐さんは、手仕事で造られるお酒こそ本物のお酒なんじゃないか? 人のお役に立つお酒ってなんだろう?と考えるようになり、生もと仕込みという昔ながらの仕込み方法に辿り着きます。
生もと仕込みとは、江戸時代の中期に確立された、様々な微生物の生命のバトンタッチのみで醸されていく仕込み方法。朝蒸したお米を夜になってから木桶に麹(こうじ)・水とともに仕込みます。蒸し米や麹はゆっくりと水を吸うため、全体がまんべんなく水を吸うよう、夜中何度も起きて手でかき混ぜるのだそうです。
翌朝には木桶の中で、水を吸った蒸し米や麹が山のように盛り上がり、それを、蕪櫂(かぶらがい)と呼ばれる棒で2~3時間おきに蔵人総出で摺り卸し(すりおろし)ていくのだそうです。
盛り上がった山を摺り卸していく様子から、この作業は「山卸し」(やまおろし)作業または「もと摺り」(もとすり)と呼ばれ、このときに唄われるのが、小見出しにもある、「もと摺り唄」と呼ばれる仕事唄です。
昔、時計のなかった時代、酒造りのみでなく、手仕事の現場では、唄でもって時間を計ることが多くあったそうで、酒造りの現場も例外ではなく、杜氏がお米の硬さ、蒸し具合などを判断して、唄の長さを決め、唄によっていつも一定の仕事ができることで出来上がるお酒のクオリティーを一定に保っていたそうです。
そうした先人の知恵が、寺田本家さんでは現代でも息づいていて、唄いながらもと摺りを行うことでムラがなくなり、蔵人の息が合わせられ和が生まれ、めでたい唄を歌う事で幸せな気持ちをお酒に込める事ができるのだそうです。
写真は、寺田本家さんの入り口
思いを込め、手仕事で作られているお酒が、どんなところで醸されているのか
見てみたいという思いが募り、見学はできませんでしたが、蔵の前まで赴きました。
レンガ造りの門、風情があります。
年明け2017年3月には、蔵人達が蔵の中をご案内する「蔵見学ツアー」もある、お蔵フェスタの開催が予定されてるようですので、気になる方はホームページなどでチェックしてみてくださいね。
ご紹介した寺田本家さんのもと摺り唄の動画
◎発酵の里と呼ばれる香取に鎮座する香取神宮と御祭神経津主大神(ふつぬしのおおかみ)
ご紹介した日本酒、香取のネーミングは、地元の香取神宮からいただいたものだそうで、
こちらのお酒は、香取神宮にも奉納されています。
「延喜式」神名帳(平安時代の官社一覧)では、「神宮」と記されたのは大神宮と呼ばれた伊勢神宮の内宮(ないくう)と鹿島神宮、そしてこちら香取神宮の3社のみであったという由緒ある神社です。
祀られているのは、御祭神経津主大神(ふつぬしのおおかみ)。こちらも八塩折之酒を紹介したとき同様、出雲を舞台にした神話に登場する神様です。
津主大神(ふつぬしのおおかみ)が登場するのは、国譲り神話。
何度か使者を出雲に派遣し、国を譲るよう伝えた天照大神(伊勢神宮・内宮の御祭神)でしたが、なかなかうまくいきませんでした。どうしたものかと、天照大神が八百万の神に相談すると、神々が口を揃えて、経津主神こそふさわしいと答えます。と同時に、武甕槌大神(たけみかづちのかみ・鹿島神宮の御祭神)が私が行こう! と申し出られたので、 共に出雲に派遣されることになりました。
経津主、武甕槌の二神は出雲国の稲佐の小汀(いなさのおはま)に着いて十握剣(とつかのつるぎ)を抜き、逆さに突きます。すると、大国主神は大御神の御命令に全く異議はありませんといい、国譲りは成功します。
そうした背景もあり、津主大神は平和・外交の祖神として知られています。
香取神宮
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