寿司王子がプロデュースする旨辛(うまから)端麗(たんれい)な酒「日高見」と大祓詞(おおはらえのことば)
寿司王子が石川県金沢にある寿司の名店「小松弥助」を訪れ、その味に感銘し、鮨に合うお酒を試行錯誤の上で完成させた、平孝酒造・芳醇辛口純米吟醸 日高見「弥助(やすけ)」。
今回は故郷、石巻の蔵に戻り新しい日本酒をプロデュースし立ち向かった社長の奮闘と、その酒の名前が登場する大祓詞(おおはらえのことば)と呼ばれる神社の祝詞(のりと)についてお話していきます。
今でこそ地方の日本酒も、土地の特徴を感じ味わう風潮になりましたが、以前は三大名醸地として知られた伏見(京都)、灘(兵庫)、西条(広島)以外の場所で仕込まれた酒は「地酒」とカテゴライズされ、本場と呼ばれた先の土地で仕込まれた酒より少し格の低いものとして扱われ、地方の蔵は苦戦を強いられていました。時代に合わせ、地酒という概念も少しずつ変わってきています。
今回はそんな地方の日本酒に対する逆風に、故郷石巻の蔵に戻り新しい日本酒をプロデュースし立ち向かった社長の奮闘と、その酒の名前が登場する大祓詞(おおはらえのことば)と呼ばれる神社の祝詞についてお話していきます。
日本の大地からの恵み ~日本酒と神様をめぐる~vol.5
親潮と黒潮が混ざりあう世界屈指の漁場 宮城県石巻(いしのまき)
平孝(ひらこう)酒造 日高見「弥助(やすけ)」芳醇辛口純米吟醸
◎平孝酒造・日高見「弥助(やすけ)」芳醇辛口純米吟醸 を味わう
一時期、所用で宮城県に出向くことが多かった筆者。その際に味わい、印象に残っている日本酒があります。一口飲み、思わず「旨いなぁ……」と、唸ったのちしばらく固まってしまったことを覚えています。
そのお酒が、今回ご紹介する平孝(ひらこう)酒造さんの日高見(ひたかみ)「弥助(やすけ)」芳醇辛口純米吟醸です。
あまりの衝撃に、写真を撮る手も震えたのか、画像も少しぶれています。
その味わいは、一言で言ってしまうと辛口。小気味好い(こぎみいい)辛さの奥から、深い旨みが顔を出し、重くはないのに、味わいは深いのです。それまですっきりフルーティーなお酒を多く飲んできた筆者には、辛くても重すぎない、お酒に弾むようなリズムを感じる辛旨口のお酒は、大きなインパクトを与えました。
名前にある、「弥助(やすけ)」は、花柳界でお寿司を意味します。 歌舞伎の演目「義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)」で、平維盛(たいらのこれもり)が難を逃れ、寿司屋にかくまわれた際に用いた「弥助」という偽名が「お寿司」の別名として使われるようになったそうです。
タイトルで用いた寿司王子こと、平孝酒造の平井孝浩社長が、石川県金沢にある寿司の名店「小松弥助」を訪れ、その味に感銘し、鮨に合うお酒を試行錯誤の上で完成させたものであることから、今回ご紹介したものは日高見ブランドの中でも、特に弥助と銘打たれ、唯一黒地の硬派なラベルになっています。
お寿司のわき役に徹し、主張しすぎないよう香りは抑え目、味わいも淡く端麗辛口に仕上げているそうで、筆者が深い味わいの中にも、軽やかなリズムを感じたのは、平孝酒造さんの試行錯誤の賜物なのだと感じます。
日高見は、地元石巻の洋菓子店ル・カフェさんとコラボして、吟醸酒ケーキにもなっているので、お酒が得意でない方はこちらで味わうのも楽しいです。
洋菓子ル・カフェ
http://le-cafe-sweets.com/item.html
◎日高見ができるまでと、蔵の再建
冒頭にも書きましたが、地方で作られる日本酒には大変厳しい時代がありました。
等級制度が平成5年に全廃されても、三大名醸地以外で仕込まれた地酒は、CMなどに登場し知名度のある酒には及ばず、そこに2004年頃の焼酎ブームが重なり、日本酒自体の出荷数が減少し、地方の蔵の多くが存続の危機に直面したそうです。
今でこそ「日高見」の銘柄で全国的に知られる平孝酒造さんですが、先ほど寿司王子として紹介した平井孝浩社長が東京から地元石巻に戻り5代目を継いだ当時は廃業寸前。廃業を回避するため、社長は当時平孝酒造さんで造っていた新関(しんぜき)という酒をトラックに積み一本一本手売りに出ます。
その中で、社長は石巻の市場だけでなく、大都市圏へアプローチできる日本酒を造らなければ蔵を再建できないと思い立ちます。そこで生まれたのが、「日高見」です。
この頃は醸造を学んだことがなかったという社長がプロデューサーに徹し、親潮と黒潮が混ざりあう世界三大漁場の一つとされる「三陸沖」石巻という立地を活かし、
日々水揚げされる新鮮で豊富な魚と合わせて味わうと至極な全国で戦えるお酒が誕生させたのです。
新しいお酒ができた当初、名前で相当悩まれたそうですが、その際に倉庫で見つけた廃盤商品が「日高見」という名前で、調べると地元に大変深いかかわりのある名前だったことから、日高見と名付けたそうです。
◎大倭日高見国(おおやまとひたかみのくに)と大祓詞(おおはらえことば)
筆者がこの酒を飲んで思い出したのは、大祓詞(おおはらえことば)という祝詞(のりと)です。この祝詞の中に、「大倭日高見国を安国と定め奉りて・・・」という一節があります。
祝詞とは、神道において神称え(たたえ)、崇敬の意を表する内容を神に奏上する文章で、通常は神職によって節回しをつけられ朗誦が行われるものです。
大祓詞は、その中の一つで、大祓の「大」は、おおきな、おおやけのという意味で、「祓」は、よくないことや不浄なことを除く儀礼を指します。
奈良時代に成立した「養老令」という法典では、毎年6月、12月の晦日(みそか)=末日に、中臣氏(なかとみし)が宣る(のる)ことと定められていました。
そうした経緯もあって、大祓詞は中臣氏の先祖といわれるアメノコヤネ、あるいは、中臣金(なかとみのこがね)が作ったと伝えられています。
祓うために奏上した大祓詞にも登場する歴史ある地名である日高見。
この名を拝した、宮城は石巻の名酒、日高見をぜひ味わってみてください。
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