日本酒のラベルを読み込み、自分好みの一本を選んでいきましょう、といくことで、前回は日本酒の特定名称と特定名称を説明するうえで外せない、磨き=精米歩合についてお話しました。

後編は、日本酒の製造工程に伴う用語をわかりやすくお伝えしていきます。

用語をより深めるために、製造工程にも触れていきますね。

◎日本酒の製造工程(日本酒ができるまで)

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出展:無料写真素材写真AC

日本酒造りには、約2000年の歴史があり、伝承されてきた技を各時代の作り手が工夫を凝らし進化させてきました。

しかし、発酵の仕組みや基本の製造工程は今も昔も変わらず引き継がれています。

ということで、製造工程に伴うワードをご説明する前に、基本の製造工程を説明していきますね。

日本酒造りは、大きくわけて①精米②麹造り③酒母造り④醪(もろみ)造り⑤上槽から瓶詰の5つに分けられます。

その5つの工程を、約3か月かけて行い、日本酒が作られます。5つをさらに細かく見ていきましょう。( )で書かれている日数は、その作業にかかる、おおよその目安になります。

① 精米
精米(2日)に加え、枯らし(30日)、洗米・浸漬(1日)、蒸し(1日)という工程も含まれます。
② 麹造り(2日)
日本酒造りの核となる工程です。蒸した米に麹カビの種を蒔き、麹室(こうじむろ)と呼ばれる温室で「米麹」を作ります。
③ 酒母造り(14日~20日)
酒造りの主役の微生物「酵母」を育てる工程です。タンクに仕込み水.米麹.乳酸.蒸米と純粋培養した酵母 を加え、慎重に衛生管理や温度管理を行ないながら、清酒酵母を育てます
④ 醪(もろみ)造り
先ほどの酒母に蒸し米、水、麹を入れると、発酵して日本酒へと変わっていきます。こうして出来たものを醪(もろみ)と言い、醪を搾ると、日本酒ができます。
このとき作る醪は、初めから原料をすべて入れることはせず、全量の約1/6程度入れ、酵母が繁殖するのを待ちます。これを《初添(はつぞえ)》と呼びます。翌日は何もせず、酵母の繁殖を辛抱強く待ちます。三日目になると、さらに蒸し米、水、麹を足します。これを《仲添(なかぞえ)》と呼びます。最後の四日目にも、蒸し米、水、麹が加えられます。これを《留添(とめぞえ)》と言い仕込みが完了します。この、初添・中添・留添を総称し、三段仕込みと呼ばれます。
⑤ 上槽から瓶詰
上槽・滓引き(7日)・濾過・火入れ(1日)・貯蔵(1週間~1年)・調水・割水・濾過・火入れ(2日)
出荷へという流れになります。

次は、この工程を踏まえて、ラベルの裏や日本酒を語るときに出てくるワードを説明していきます。

◎ラベルの製造工程に伴うワード

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出展:無料写真素材写真AC

~製法を表すワード~

■速醸(そくじょう)
酒母造りの初期に乳酸を加えることで、酒母造りの期間を大幅に短縮できる技法で仕込まれた日本酒。気温の影響をうけにくく、安定した酒質を得られるため、多くの蔵で取り入れられている。生酛や山廃に比べ、香りがはっきりとたち、すっきりした味わいに仕上がるといわれている。
■生酛(きもと)
最も伝統的な酒母造りの技法で、蔵に浮遊している天然の乳酸菌や酵母菌を取り込み、ゆっくり発酵させる技法。品質を一定に保つのが大変難しいため、先で挙げた、速醸が開発された明治には、少し廃れた時期もあったが、最近は人気が再燃。酸がきいた芳醇な米の旨みが強いしっかりした味わいに仕上がる。
■山廃酛(やまはいもと)
先で挙げた生酛の酒母造りでは、「山卸し(やまおろし)」と呼ばれる、櫂で米を粥状にすり潰す作業が、一番の重労働だった。その山卸しを省いても、乳酸菌が繁殖し問題なく酵母が培養されることが、明治40年に判明し、山卸しという工程を省き、酒造りをする蔵が現れた。山卸し廃止を短く言い換え、山廃として定着。山廃で作られた酒の特徴は、酸度が高く骨太。

~搾る工程を表すワード~

■荒走り(あらばしり)
酒を搾る工程で最初に流れてくる酒の呼び名。炭酸ガスが多く残り、少し粗削りな感じも残り、フレッシュな風味と口当たりが特徴。
■中汲み(なかぐみ)・中取り
荒走りに続いて流れ出てくる酒の呼び名。濁りも取れ、透明。味わい、香りともに緻密でバランスのとれた部分。鑑評会に出品される酒の多くは、中汲み。中取りとも呼ばれる。
■責め
酒を搾る工程の終盤に出てくる酒の呼び名。香りや味のふくらみは、抑えめになることが多いという特徴がある。

~火入れのタイミングで変わるお酒の名前~

日本酒造りにおいて、火入れは通常2度行われるのですが、その回数やどのタイミングで火入れするかによって、出来上がる酒の名称が変わります。
■生酒(火入れ0回)
一度も火入れしていないもの。華やかな香り、フレッシュな味わいという特徴があり、わずかに炭酸ガスを含むことがある。酒質は、安定せず変化しやすいため、生酒を購入の際は、帰宅後すぐ冷蔵庫にいれ、開栓後も早めに飲み切るほうが良い。
■生詰(火入れ1回)
搾りと貯蔵の間のタイミングで一回だけ火入れし、火入れ後は、瓶またはタンクで貯蔵されたもの。フレッシュ感が残った味わいで、酒質はやや不安定。秋に出荷される「ひやおろしも」も生詰の酒。
■生貯蔵(火入れ1回)
搾ったあとに、生酒の状態で貯蔵し出荷の前の瓶詰の前か後に、一度火入れしたもの。味や香りは穏やかで、酒質は生詰よりも安定する。
■一般的な酒(火入れ2回)
搾った後に一回火入れした後貯蔵し、瓶詰の時に2度目の火入れをしたのち出荷するもの。キレが良く、落ち着いた風味で、最も酒質も安定している。

◎ラベルの出荷時期に伴うワード

■新酒 
秋に収穫された酒で仕込み、熟成させないで出荷される酒。フレッシュな味わい。
■冷やおろし(ひやおろし)
春先に搾った新酒を一回火入れし、夏を越し熟成させ、秋口に出荷される酒。ひと夏の熟成を経ると、新酒独特の粗削りさが消え、旨みが増し、滑らかな味わいになる。一回火入れのため、渋みがわずかに残り、新酒より深い味わいになるという魅力もある。
■古酒
醸造後、一定期間貯蔵し、ねかせた長期熟成酒のこと。新酒の時の酒質や保存の際の温度など、さまざまな条件によりさまざまに、味わいが変化する。色の濃淡や酸味、甘味や余韻など様々な味わい。

ラベルに載っている用語を説明し、その味わいの特徴を2回にわたりお伝えしてきました。

あなた好みの一本を、見つけ出す手掛かりにしていただければ、嬉しく思います。

史上最高のあなたの一本に出会えますように……

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WRITTEN BY ミラクルナビ らぶちゃん

ミラクルナビ らぶちゃん
日本酒ナビゲーターで、占い師、セラピスト。以前の職を生かしメイクレッスンやフェイシャルエステなど美容...