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第4回ジオマンシーショートストーリー

ジオマンシーは、アラビア生まれのとても当たる占いです。ジオマンシーの16のシンボルにまつわる物語を、一話完結のショートストーリーとしてご紹介していきます。

ケース4「拘束」〜ノゾミの場合〜


出典: 写真AC

 

職場の同僚と一緒に、昼休みに占い師さんが今週の占いをウエブにアップしてたのを見たんですよ。

ジオマンシー占いっていう、アラビアの占いで。

「拘束」っていうシンボルが出ていて、来週はものごとの遅れや停滞、あと仕事が忙しくなるって書いてあって。

同僚はなぜかテンション高く、「拘束って何〜? ありえな〜い!」って笑ってたんです。

わたしはただ、ふうん、って思っただけだったんですよね。

わたしたちの仕事は、イベント関係なんですけど、特に問題もなく順調に進んでいたし、忙しいどころかむしろ、ヒマなくらいで。

そろそろバーゲンが始まるから、仕事終わりに買い物に行こうとか考えてました。

ところが、翌週の月曜日に、関わっていたイベント関係で重大なミスが見つかって、大変なことになったんです。

こっちのミスじゃないにしても、とにかく、イベントの開催が危ぶまれるくらいで。関係各所への連絡に、いろんな準備のやり直し、手配し直しに、もうてんやわんやでした。

わたしも、ものすごい勢いで大量のメール書いて、電話しまくりました。

初めて会社に泊まり込みで仕事しました。


出典: 写真AC

 

終電がなくなっても書類整理が終わらなくて、タクシーで帰ることもできたんですけど、会社の休憩室で仮眠しました。夕食と夜食には、上司がコンビニでおにぎりを買ってきてくれて、みんなで食べました。

お化粧も落とせなくて、アラサーのOLには、厳しかったですよ。

それでも、なんとか数日で、準備のやり直しもできて、ほっとしました。

一段落してから、お昼休みに同僚といたとき、ふと、あの占いのことを思い出したんです。

「先週、拘束されてたよね?」

同僚がごくっと、唾を飲み込むのがわかりました。

「どうしてわかったの?」

って同僚が言うので、何言ってんだろうって思って。

「わかるにきまってるじゃない。あたしも拘束されてたし」

「ノゾミも!?」

同僚の目が、急にキラッと光ったんです。

そして、あたりをうかがってから、こっそり教えてくれたんです。

「今の彼が、縛るの好きな人なの。あたしもくせになっちゃって」

「え?!」

そのときの同僚のびっくりした顔、忘れられません。

あとから言ってたんですけど、同僚は、占いで「縛りプレイ」がバレたと思って、ドキドキしてたらしいです。

そういうプレイがあるんですね。

人それぞれでいいと思いますよ。

とりあえず、わたしとしては、仕事の突発事故への対応で、自分自身、少しスキルアップできたって気がしてるんです。また拘束されたいとは思わないですけどね。でもまあ、パワーアップできたのは、これはこれで、いいかなって。

 

ジオマンシーシンボル「拘束」のキーワード

孤独。動けない。物事の遅れ。停滞。
*画像は「ジオマンシーカード」「ハピタマ!」です。

 

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占い師・作家:高橋桐矢

WRITTEN BY 高橋桐矢

高橋桐矢
高橋桐矢(たかはしきりや)占い師兼作家。 雑誌「ムー」(学研プラス)に毎月の占い掲載。 著書『占...