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第2回ジオマンシーショートストーリー

 

ジオマンシーは、アラビア生まれのとても当たる占いです。ジオマンシーの16のシンボルにまつわる物語を、一話完結のショートストーリーとしてご紹介していきます。

 

ケース2「道」〜アヤの場合〜


出典:Pixabay

ふっと弱気になっちゃったんですよね。自分でやりたくてパン屋を始めたのに。

今まで、占いしてもらったことなんて、なかったんですけど、通りすがりの占い館で見てもらったんです。ジオマンシーとかいう、めずらしい占いみたいで。

占い師さんに「『道』っていうシンボルが出ていますから、自分の道を進んでいくときですね」って言われて。

思わず言い返しちゃいました。この道でいいのか迷ってるから占ってもらいに来たんですって。

パン屋になりたいっていうのは昔から思っていたんです。でも普通のパン屋じゃ、やっていけないでしょう? うちにしか売っていないオリジナルパンじゃなくちゃって。

それで見つけたのが、グルテンフリーパンなんですよね。子供の同級生に、小麦粉アレルギーの子がいて、困っている人がいるって知ったんです。これだって、思いました。米粉にソバ粉、タピオカの原料のキャッサバや雑穀、いろんな原材料を、いろんな配合で試しました。最初は失敗作ばっかりでしたよ。うちの子も最初は失敗作でも喜んで食べてくれていたけど、しまいには、もういらないって言うから、わたしが自分でぜんぶ食べてました。

もちろん、夫も子供も応援してくれてましたけど、自分でやるって言い出したからには、もうあとに引けないって思ってたんですよね。

グルテンフリーで、小麦粉のパンより美味しいものを作りたいって思ったんです。小麦粉のパンじゃ勝負できないから、グルテンフリーパンを売ることにしたんじゃなくて、美味しいパンがグルテンフリーパンだったってならないと、意味がないんです。意地ですね。

そうしてできたのが、うちのパンなんです。自慢のパンです。


出典:Pixabay

だけど、お客さんが来ないんですよ。チラシもまいたし、広告も出したし、できることは全部して、それでも売上が上がらない。わたしが間違ってたのかなって、弱気になってしまって。

占ってもらったのは、そのときです。

自分の道が間違ってるかもしれないって、そのくらい自信がなくなってたんですよね。言い返しちゃったのは、痛いところをつかれてたからだと思います。

でも占ってもらった数日後に、来てくれたお客さんが、グルテンフリーパンを買えるお店をずっと探してたって、すごく喜んでくれて。うちのパンを全種類買ってくれて、絶対、辞めないでくださいねって言われて。なんかちょっと、うるっと来ちゃったんですよね。

こういう人のためにお店をはじめたんだって、原点に戻った気がします。グルテンフリーパンを必要としてる人は確かにそれほど多くはないかもしれません。だから、ただ、たくさんの人に来てもらえばいいってわけじゃないんですよね。必要としてる人、そういう人にちゃんと届けられるようにって。そこが原点だったんだって、思ったんです。そのとき、あの占いのことを思い出して。これがわたしの道だったんだって。正しいか間違ってるかじゃなくて、わたしがわたしの道を進むってことが大事なんだって、分かったんです。

それから、少しずつですけど、お客さんも増えてきてます。

もう迷っていません。自分の道ですから。


出典:Pixabay

 

ジオマンシーシンボル「道」のキーワード

進む、変化。少数派。決断。旅。

*画像は「ジオマンシーカード」「ハピタマ!」です。

占い師・作家:高橋桐矢

WRITTEN BY 高橋桐矢

高橋桐矢
高橋桐矢(たかはしきりや)占い師兼作家。 雑誌「ムー」(学研プラス)に毎月の占い掲載。 著書『占...