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第３回ジオマンシーショートストーリー

ジオマンシーは、アラビア生まれのとても当たる占いです。ジオマンシーの16のシンボルにまつわる物語を、一話完結のショートストーリーとしてご紹介していきます。

ケース３「つながり」〜マサトの場合〜

出典: 写真AC

気づいたらもう何年も彼女がいなかったんですよ。

仕事が忙しくてそれどころじゃなかったっていうのもあって。

この間、地元でクラス会みたいなのがあって行ったんですけど、もう結婚してるヤツもいて、さすがに、ちょっと焦りましたね。

おれ、自分で言うのも何なんですけど、彼女いそうに見えるらしいんですよ。今までは聞かれても、「まあ、そこそこ」とかなんとか言って、適当に流してたんですよね。だって、面倒くさいじゃないですか。いちいち説明するの。

だけど、クラス会では、ぽろっと、言っちゃったんですよね。

もう何年も彼女がいないし、出会いも全然ないって。馬鹿にされるかもって思ってたけど、逆に心配されちゃって。それもまあ、恥ずかしいんですけど。でも、まわりのヤツらが、紹介するよとか言ってくれて。

そんな話をしてたときに、誰かが、「占いできる子がいる」って言い出して。

おれ、占いなんてしてもらったことないし、信じてないんですけど、その場ののりで、とにかく出会いをつかむためにどうすればいいのか、占ってもらおうってことになっちゃって。

占いできるっていうのは、となりのクラスだった女子で、当時は全然話したことはなかったし、その日だって、占いすることになって初めて話したんですよ。もちろん占いのプロとかじゃなくて、占い好きで趣味で友達を占ったりしてるだけって言ってました。

サイコロ使うジオマンシーとかいう占いで。サイコロ振るときは、ちょっと緊張しましたね。

出典: 写真AC

で、出たのが、「つながり」っていうシンボルで、「人とのつながりから、彼女ができる」って言われて。

つながりって言われても、会社と、あとはときどき遊んでいる男友達くらいしかいないって言ったら、「趣味は何ですか」って聞かれたんですよ。まあ、映画見ることかなって。ツイッターでたまに映画感想とかつぶやいてるんで。最近見た中では、ジョーカーがよかったですね。ホアキン・フェニックスの役作りはハンパなかったですよ。あの笑い方が独特なんですよ。

そんな話をしたら、ツイッターから映画好きな人とつながるのかもって言うから、「いや、それはない。だって、鍵かけてあるから」って言ったら、みんなから「鍵外せよ」ってブーイングっすよ……笑。

せっかくのつながるツールなのにって。

おれとしては、気晴らしと備忘録に使ってただけなんですけどね。だから、彼女が出来ないんだよって言われて、ちょっと反省しました。

それで、その日から、ツイッターの鍵を外したんです。その日来てたメンツともつながって。

それから、映画のコメントのやりとりをするようになったんです。

っていうか、その占いしてくれた彼女が、結構な映画マニアだったんですよね。好みもおれとかぶってて。ツイッターのやりとりしているうちに分かったんですけど。

それで今度、一緒に映画見に行く約束したんです。

占いしてくれた彼女と。

これからどうなるかわかりませんけど、ちょっと、つながったかな、って気はしてるんです。

恋愛映画じゃないですよ、ホラーです……笑。おれも彼女もホラー大好きなんで。

ジオマンシーシンボル「つながり」のキーワード

出会い。結びつき。絆。協力。
＊画像は「ジオマンシーカード」「ハピタマ！」です。

占い師・作家：高橋桐矢