これって5月病?チェックしたい思考のクセ5選!!

 

・5月病の原因

・5月病の症状

・感情の種とグルグル思考

・注意したい思考のクセ5選

・5月病の根元にある不安

 

 

5月病の原因

 

進学、就職、異動、転勤、転職などをきっかけに新しい環境に馴染めないことや、人間関係が上手くいかないことが5月病の主な原因といわれています。特に「新しい仕事で自分の能力を活かしたい!」「前よりも良い環境で生活できるはずだ!」と、4月からの新生活に期待しすぎて現実とのギャップに落ち込むということもあります。明確な理由が無くても「なんかしっくりこないなぁ」という違和感が積み重なってしまい、気分が晴れないでいて体調も崩れるということもあります。

 

 

5月病の症状

 

5月病は正式な病名ではなく、この時期の心と体の傾向に付けられた呼び名です。

・頭痛やめまい
・眠れない、朝起きられない
・やる気が起きない、体がダルい
・イライラする、落ち込みがち

 

こうした状態が現れることが多いです。私は「あなた5月病ですね」という言い方は好まないですが、自分の状態を深刻に考えすぎてしまう人には「みんな辛い時期なんだな」「自分だけじゃないんだな」と思ってもらえるのでよいかなと考えています。


出典:無料素材画像 写真AC
 

感情の種とグルグル思考

 

5月病のような状態になってしまう原因に『グルグル思考』があります。人に傷つけられたことや未来への不安が頭の中をグルグルしてしまう体験は誰でもあると思いますが、それは怒りや不安といった『感情の種』にどんどん栄養を与えている状態なのです。

 

マインドフルネスでは、喜怒哀楽の根元に『感情の種』がある、という考え方をします。たいていはお腹が痛くなったり、肩が凝ったりと身体症状に現れますが、それを体からの発せられたサインだと認識できていないと、頭の中で「私は何やってもだめだ」「あの人は私に冷たい」というような思考が生まれます。例えばそれが『怒りの種』から生まれたものなら、イライラした場面が頭の中でグルグルするたび、それが『怒りの種』の栄養となり、思考がループするたびにイライラは収まるどころかどんどん増幅していきます。

 

ただ、例えば「あの人は私に冷たい」という思考は、実は妄想でしかなく、相手は単に忙しくてメッセージに目を通せていないだけで、あなたのことは大切に想ってくれているかもしれませんし、大切さを表現する方法があなたの期待しているものとは異なるのかもしれません。いずれにせよ、『感情の種』が発するメッセージに気づかず、自ら作り出した思考で自らを怒らせ、残念ながら頭の中だけで勝手に苦しんでいる状態なのです。そのため、頭の中の出来事は現実からはかけ離れていることが多いのです。これはある意味安心材料でもあります。

 

また、「あの人が冷たい」から「私はイライラしている」というのは、自分の感情を他者に依存していて、自分のご機嫌はあの人次第という状態になっています。決してそれが悪いという意味ではないです。誰でも不安や淋しさを抱えていますが、それを相手が拭ってくれないことから怒り生まれ、自分勝手に相手を責めているという「状態に気づく」ことが大事です。そうしたことは1度や2度ではなく、『思考のクセ』として何度も立ち現れてきていることでしょう。

 

あくまで正論を述べるに留まるので重く受け止めなくてよいですが、その傾向に気づき、自分で断ち切ることが出来ないと、いつまでもイライラして不幸な私から抜け出せないです。これは分かっていることが大事なのです。分かっていても出来ないことは多いです。ただ、気づいていることで、そのまま怒り続けるか、相手に依存せず、自分で自分の怒りを理解するような思いやりの種を育むか、選択の余地が生まれます。怒りの種に栄養を与えることができるならば、マインドフルに思いやりの種に栄養を与える手段も存在するのです。

 

前置きが長くなりましたが、グルグル思考に囚われてきたら「ああ、いまグルグルしてるなー」と気づくこと、そして「イライラしている」「淋しさを埋めてほしい」「不安をぬぐってほしい」といった『感情の種』に意識を向けることです。

 

グルグル思考はネガティブな感情を増幅させ、止めようとしても止まりません。ですが、グルグルしているものを『思考のクセ』として捉えること、いま起こっているのは妄想なのだと気づければ、思考と感情との間に適切な距離を持つことが出来ます。

 

また、意識を向ける先を根本である『感情の種』に向け、マインドフルに思いやりのエネルギーを注ぐというのは次のステップになるので今回はここまでにします。

 

 

注意したい思考のクセ5選

 

先ほどはイライラを例にお伝えしましたが、こんな思考が沸いてきたら注意したいものを5つ挙げてみました。これらはあくまで『クセ』であり、それは頭の中で生まれた『思考』であり、現実とはかけ離れていることが多いことは繰り返し述べていきます。

 

 

1、「全か、無か思考」

失敗した、私はダメだ、そんな思考に陥りやすいです。慣れるまでは失敗が多いですし、慣れたら慣れたで失敗はつきものです。完璧かそうでないかという思考を突き詰めても、必ず失敗が訪れるので、そのたびにダメージを負います。失敗への反省と改善は必要ですが、失敗する自分はダメだという思考では、ダメな自分がする前提で物事を考えるので、本来発揮できる能力を見誤ってしまいがちです。あなたの力はそんなもんじゃないと言いたいですが、出来ること100%で完璧ではなく、出来ることと出来ないことが合わさって完璧です。

 

 

2、「すべき思考」

もっと仕事をテキパキすべき、あの人はもっと私に優しくすべき、といった「○〇すべき」といった思考も陥りやすいです。これは言語化されないレベルで感じることが多いので、なかなか気づきにくいです。「なんかイライラしているな」と思ったら「○○すべき」という気持ちが強すぎてないか意識してみてください。根本には、願いが叶わない、期待に応えてもらえない淋しさだったり、淋しいだなんて想いたくないという気持ちがあるかもしれません。

 

 

3、「心の読み過ぎ」

人の行為や仕草をみて自分勝手に考えることで、多くの場合ネガティブな思考になります。「あの人は私を避けた。私を嫌っている。」「既読がつかない。怒っている。」といったようにです。これはいくらグルグル思考していても相手のことはわからないし、相手に「私のことを嫌っているの?」と問い詰めて「そんなことないよ!」と言われて安心できるものではありません。自分の中で生まれた種から生まれた思考をただグルグルさせているだけなのです。たいていは不完全な自分が不安で、他者からの承認、ほめてもらったり大丈夫だよと言ってもらったりすることで安心したい気持ちから起こるものかもしれません。ただ、それを否定する必要はありません。「あー!承認されたい!!」「淋しくて死ぬ!!」と想っていればいいのです。

 

 

4、「心のろ過(フィルタリング)」

20人の前で話をした時、19人が納得した表情で頷いていても、1人が眉間に皺を寄せていたら「あー駄目だったんだ」と考えがちです。たいていポジティブな情報を排除してネガティブな情報だけを抽出してしまいます。営業は断われることが前提なのに、1度の失敗でも「自分はこの仕事向いていないのではないか」と思います。落ち込んで沈んでいる時間も大切ですが、あなたの持つ能力はそんなもんじゃないです。気持ちが整った状態でチャレンジを繰り返すことができれば、成功と失敗を繰り返してそれなりの成果を出すことはできますし、コツを掴めたら大成功することだってできるのです。

 

 

5、「破滅的思考」

およそありえないのに最悪な状況を想定してしまうことです。失敗したら契約が破棄されてしまう。仕事をクビになってしまう。そんな私はどうせ結婚できない。でも安心してください。これは思考のクセであって、頭の中で生まれたものであって、実際の現実とはまた異なるものです。

最悪を想定することで、そこまで至らなくてよかったと安心することはできますが、自分が作り上げた最悪の状況に現実が引きずられてしまう怖れがあります。リスクマネジメントというのはリスクをどう回避するか手段を考えるもので、最悪を想定して不安を募らせるのとは違います。

 

今から言うことはマインドフルネス瞑想を実践することで気づきやすくなるものなので一般的な感覚からズレているかもしれませんが、これら5つのような思考が頭の中で回り始めたら、「ああ、思考が始まったな」と意識を向けてみましょう。そして思考・感情・身体は繋がっています。体のどこかがうずいていたり、かゆかったり、痛かったりしていないか意識を向けてみます。そして「ああ、痛くなるくらいの状況なんだな」「よくわかんないけど、うずいて何かを伝えようとしているんだな」と気づきます。理解しようとすることが大事ですし、理解したくないと思ったらそのままにすることも大事です。

 

いずれにせよ、いまここの状態に微笑みを向けるように自分を見つめることができれば、グルグル思考から抜け出すきっかけをつかめます。


出典: Pixabay
 

5月病の根本にある不安

 

人は誰でも強い部分と弱い部分があって、未来の不安や誰かへの期待を抱いて生きています。弱い部分を強化しようということではなく、「期待しちゃってるな」「不安で淋しいな」という自分がいるなと認めることで、グルグル思考と適切な距離をとることができます。自己受容という言い方をしてもいいでしょう。ただ「自己受容しよう!」としても自己受容できないですし、「弱い部分を認めよう!」としても簡単に出来る物ではありません。「話してください!」といきなり言われたら言葉に詰まるようなものです。

 

マインドフルネス瞑想は、呼吸や体の状態に意識を向け、思考を現象として捉えることで、自然と自分自身の状態に寄り添い、理解し、ありのままの状態を受け容れることに繋がります。5月に入って気持ちが落ち込んでいる、そんな時はマインドフルネス瞑想がオススメです。周りの出来事にいちいち『反応』するのではなく、一歩立ち止まって『対応』する練習をすることができます。

 

今回は具体的な実践方法を述べませんが、不安をかき消す必要はありません、不安はそのままにしておくことができます。よかったら私の瞑想会にも遊びに来てください。

 

岩田英朗でした。

 

 

マインドフルネス/心理カウンセラー:岩田英朗

WRITTEN BY 岩田英朗

岩田英朗
心理カウンセラー 大学相談室でのスクールカウンセラー(学生・保護者・教職員向けカウンセリング)を勤...