◎伏見の名水で霊水「御香水(ごこうすい)」と御香宮神社(ごこうのみやじんじゃ)

お酒は酒米を語りがちになりますが、お水についても忘れてはなりません。

澤屋まつもとを醸す、松本酒造さんは、名水で有名な伏見にあります。

蔵のそばには、御香宮神社(ごこうのみやじんじゃ)があり、神功皇后(じんんぐうこうごう)が祀られ安産祈願で有名です。

神社のそばには、伏見七名水の一つである御香水(ごこうすい)という湧水があり、この水は、昔、猿曳きが連れた瀕死の猿がこの水を飲みたちまち元気になったという言い伝えのある霊水。今でも病気の回復や、茶道、書道の上達を願い、持ち帰る人が多いそうです。

今回はそんな素晴らしいお水で醸された「澤屋まつもと」の「守破離(しゅはり)雄町(おまち)」をご紹介いたします。

日本の大地からの恵み ~日本酒と神様をめぐる~vol.10
守破離の精神で進化を続ける極上の酒「澤屋まつもと」と伏見の霊水「御香水(ごこうすい)」

◎松本酒造 澤屋まつもと 守破離(しゅはり)雄町(おまち)を味わう

今回ご紹介するのは、京都伏見にある松本酒造さんが醸す、「澤屋まつもと 守破離(しゅはり)雄町(おまち)」です。
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前回の風の森に続き、この「澤屋まつもと」も種類の多いお酒。

どれをご紹介するか大変迷ったのですが、本品「守破離 雄町」がリニューアルする前「純米吟醸 雄町」の名称であった時から大ファンだったので、今回はこちらをご紹介します。

 
このお酒の味を一言でいうと、研ぎ澄まされ洗練された味です。

洗練という言葉は、旨み・酸・ガス感などが絶妙なバランスで、とても引き締まった味の構成になっているため、そう感じるのだと思います。お米の旨みはしっかり感じるのに、甘味が極力削ってある印象があります。甘味がじゃましないので、どんな食事にも合い食べ物の味をより引き立ててくれます。

下の写真のように、ワイングラスで楽しむのもおすすめです。
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↑以前のラベルとグラスについた柔らかな泡。

使われている酒米は、名前にもついている雄町。酒米の中で、最も古い品種と言われています。

有名な山田錦や五百万石というお米のルーツで、栽培の難しさから生産量が激減、絶滅の危機を迎えていました。しかし近最近になって岡山県の酒造メーカーを中心に、雄町の栽培を復活。再び雄町から造られたお酒が飲めるようになってきたという経緯があります。

雄町は溶けのいいお米であるために、山田錦などよりも芳醇でコクのある味わいになります。この守破離 雄町も例外ではなく、芳醇でしっかりした味わいがあります。しかし、甘味や雑味をしっかり削っているため、味わいの深さとキレ味を両立しています。

栽培の難しい雄町で、雄町の産地を限定し仕込むこだわりがありながらも、720mlが1600円程度というお値段で販売されており、大変コストパフォーマンスもいいです。ぜひ、このお酒に出会えたら、味わってみてください。

◎九平次イズムと守破離の精神で、進化を続ける酒造り

今回のお酒の名前にも入っている「守破離(しゅはり)」という言葉は、もともと茶道や武道などでよく使われる言葉で、修行の段階や師弟関係の在り方を表わす言葉です。

守破離の「守」は、最初の段階は、師の話きちんと聞き守るということを表わします。
できる限り多くの話を聞き、師の行動を見習い、師の価値観を自分のものにしていく、すべてを習得できたと感じるまでは、誌の指導の通り行動することを意味します。

守破離の「破」は、次の段階。師の言いつけを守るだけでなく、破る行為をしてみる。独自の創意工夫を盛り込み、師の話になかった方法を試していくことを意味します。

守破離の「離」は、最後の段階。師のもとから離れ、自分自身で学んだ内容をさらに発展させることを意味します。

澤屋まつもとの酒造りは、この守破離の精神を、まさに体現する酒造りと言えます。

澤屋まつもとの松本日出彦さんは、蔵の跡継ぎで専務でありながら、有名な「醸し人九平次」を醸す萬乗醸造さんで二年間勉強され、自ら杜氏になった方です。
先ほどの章でお伝えした、旨みを残しながら甘味を究極に抑えた味わいは、まさに醸し人九平次の神髄を受け継いだものと言えると思います。

その教えやこれまでの伝統をただ守り続けるのではなく、さらに磨きあげているのが、米の産地へのこだわりです。

これまで日本酒において、仕込む米の産地はあまり重要視されていませんでした。
外国産のワインなどは、どこで育ったブドウで仕込むかにより、以前から価値に違いがありましたが、これまでの日本酒造りに際して、産地による価値の違いはほとんど認識されていませんでした。

しかし、杜氏の松本さんは同じ品種でも産地によって、味に歴然とした違いがあることに気づかれます。

産地を特定して日本酒を造っていくということは、産地で起こり得る自然災害などのリスクも背負うことであると知りながら、産地を特定し酒を造る決断をします。そうした決断が、いわゆる守破離の破であると感じました。

ちなみに、今回ご紹介したお酒の雄町は、岡山市中区産がすべて使われているそうです。

酸味・旨み・良い苦味を、綺麗なバランスで表現できるのは素晴らしい産地の酒米だけという信念を貫き、伝統を守りながらも創意工夫を重ね日々進化する酒造りを目指されています。

伝統を守り、新しい感性をもって、新境地を創造するというコンセプトが現れている
澤屋まつもとさんのHP
http://sawayamatsumoto.com/



WRITTEN BY らぶ らどらいと

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