皆さんは「死」ということがどんなことか、説明することはできますか?
子供が物心ついてきたときに、「死」というものを知り、怖がるようになります。
その時に、なんと説明しますか?
私たちの多くは「死んだ体験」をしたことがありません。
中学生に「死」について考える体験を通して「生」の大切さを語り掛ける本がありましたのでご紹介します。





「死の授業」 新井 満(著) 講談社


photo by 逢坂朋代

作家の新井満さんがNHK総合テレビ放送番組「課外授業 ようこそ先輩」で「死の実験と生きる役割」という授業を行った模様からまとめられた本です。

以下の4つの章で授業の様子が書かれています。

1 教室にて
2 海辺にて
3 グラウンドにて
4 翌日、再び教室で

「1 教室にて」では新井氏の中学時代の体験から「死」と「生」について中学生に語り掛けています。
ここで、新井氏は「限りある”いのち”を、どんなふうに使えばよいのか。死から逆算した生を考え始めたのです。」と語っています。
そう考えるまで、少年時代の新井氏は毎日が憂鬱だったそうです。
その憂鬱が晴れたきっかけとなる体験から、どのように何を感じて変化したのかが語られています。

「2 海辺にて」「3 グラウンドにて」では「死の疑似体験」を行う様子が描かれています。
実際にどのように疑似体験がなされたかは、本をお読みくださいね。
子供たちは大切なもの、人を失う疑似体験を通して残される者としての体験をしています。
自分が大切なものを失ったときに、何を感じてどう思うか。
そこから、逆に「自分が死んだら」残された大切な人はどう感じるかを考えさせていました。
ここで、新井氏は子供たちにこのように語っています。

「死ぬって、別れることでした。
では、生きてるって、どういうことなのか?」

もし会いたければ、また会えるってことなんだ。
お父さんやお母さんに、また会えるってことなんだ、
大切な人々や大切なものたちに再開できるってことなんだよ。」
ここから、「死」を考えることを通して”いのち”の大切さを感じられるようでした。

「4 翌日、再び教室で」では「死の疑似体験」から一晩たち、宿題でされていた両親へのインタビューと、「生きる役割」をテーマにした作文を基に、中学生と新井氏が個人面談をしている様子が描かれています。

死の疑似体験を通して


出典:無料素材画像 写真AC

子供たちは、疑似体験を通し、何を感じたでしょうか。
子供たちの体験を読んで、皆さんは何を感じるでしょうか。
感じたことを大切にしていただきたいと思います。
それは、ご自分にとっての「生きる」意味を確認することになるかもしれません。

この授業を行った中学校長、担任教師と新井氏の鼎談もぜひお読みください。
新井氏がどのように考えてこの授業を行い、その結果、子供たちが何を語っていたかという後日談となっています。

生きているうちに、誰でも「死にたい」と思うことがあるでしょう。
その時に、踏みとどまることができるのは、失う体験から想像力を働かせることができるからなのかもしれません。

「生きることの素晴らしさ」という言葉があるけれど、なぜ「素晴らしい」といわれるのかが分からない。
そんな方にも、ぜひ読んでいただきたいと思います。

「生」も「死」も、軽く考える傾向がある時代なのかもしれません。
生きる意味が分からない。
そんな時に、この本は「死」を考えることから「明日も生きてみてもいいかもしれない」と教えてくれるように思います。

子供や若者の自殺も増えているといいます。
死にたくなるほど辛いときに、ふと「生きていたら、また会える」と思えたら。
いま会いたい人がいなくても、「生きていたら、きっと会える」と思えたら。
それが、明日に”いのち”を繋ぐことになるのかもしれませんね。





スピリチュアルライター:逢坂朋代

WRITTEN BY 逢坂 朋代

逢坂 朋代
「スピリチュアル好き」の主婦であり、占星術の鑑定もしています。 現在子育て奮闘中。 精神世界・ス...