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第5回ジオマンシーショートストーリー

 

ジオマンシーは、アラビア生まれのとても当たる占いです。ジオマンシーの16のシンボルにまつわる物語を、一話完結のショートストーリーとしてご紹介していきます。

 

ケース5「大吉」〜ウララの場合〜


出典: Pixabay

32歳OLのウララは、苦虫を噛み潰したような顔で、イスに座った。ウララの目の前には、小さなテーブルをはさんで、よく当たると評判の人気占い師が向き合って座っている。

「あたしの運勢、最悪なんです!」

ウララは、最近立て続けに起こった不幸を、一気にまくしたてた。

「ふられたんですよ! 6年も付き合ってたのに。落ち込んでたところに、会社が潰れて無職になって。おまけに、今住んでるアパートを建て壊すからって出て行けって! 信じられます!? 最低最悪でしょ!? あたしこれから一体どうすればいいんですか?!」

「あらまあ、なんてことでしょ。それは本当に、大変でしたねぇ」

ウララは体をのりだして占い師に詰め寄った。

「あたし、何か悪いものでも付いてるんですか?!」

占い師はにこりと笑って、テーブルの上の水晶の粒を指さした。

「とにかく占ってみましょうね。この粒を好きなだけ取ってみて」

ウララは、お皿から水晶の粒をつまんで、テーブルの上に置いた。占い師に言われるまま、4回繰り返す。きらきら輝く水晶の粒を、占い師は、「2、4、6……」と数え始めた。

占いブースには、『とてもよく当たるジオマンシー占い』と書いてあった。

水晶の粒を数えおわった占い師が顔を上げた。

「大吉よ」

「ダイキチ?」

ウララはオウムのように繰り返した。


出典: 写真AC

「あなた、今とてもいい運気に乗ってるわ。さっき聞いて思ったんだけど、彼と6年も付き合っていて、将来の話とかはしていたの?」

「してましたけど、もう少しお金が貯まってからって。それに、あたし、彼からまだお金返してもらってないし」

「お金貸してたの? いくら?」占い師が眉をしかめた。

「はい……10万くらい」

「そう、気の毒だけどそのお金は戻ってこないわ」

占い師は断言した。ウララは言い返せなかった。

「あなた、彼が変わってくれるかもって思いながら6年も待ったんでしょう? 待てば待つほど、離れられなくなるの。これだけ待ったんだから、その分大きなリターンがあるはずって、貴重な女盛りの時期を無駄にしてしまうのよ。お金は高い勉強代と思って、あきらめなさい。彼と別れてよかったって思えるときが絶対来るから」

「でも会社も……」

「いい会社だったの? いい会社がどうして潰れちゃうの?」

「確かにブラックだったし、給料も安いし、人が入ってもすぐ辞めちゃうし」

「それよりいい会社が絶対見つかるわよ」

「でもアパートが…」

「壊すから出て行ってってことは、引越代金が出るんじゃない?」

「あ、それは出るって言われました」

「じゃあ、お金出してもらって好きなところに引っ越せるってことじゃない。仕事だって、場所を限定せずに、条件優先で探せるわよ」

言われてみればその通りだった。

「あなた、今、大吉運なのよ。自信を持って進んでね。みんないい方向に行くわ。大丈夫よ」

占い師に太鼓判を押されて、ウララは、なんだか煙にまかれたような気持ちで占いブースを出た。

そして、それからすぐ新しい仕事が決まり、会社近くに引越もした。新しい会社は、給料もよく、休みも取れて、福利厚生もしっかりしているホワイト企業で、将来有望な若い社員が多い。

そんな中、会社の同僚の同じ年の男性から、付き合って欲しいと言われてしまった。

ウララは、新しい恋のゆくえを、またあの占い師に聞きに行こうと思っている。

「大吉、やっぱり当たってました」という報告もかねて。

 

ジオマンシーシンボル「大吉」のキーワード

大吉運。強運。ラッキー。うまくいく。

*画像は「ジオマンシーカード」「ハピタマ!」です。

 

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占い師・作家:高橋桐矢

WRITTEN BY 高橋桐矢

高橋桐矢
高橋桐矢(たかはしきりや)占い師兼作家。 雑誌「ムー」(学研プラス)に毎月の占い掲載。 著書『占...