
なぜ、親の名前の一字を子供に名付けてはいけないのか?

赤ちゃんが生まれる時、筆頭に上がってくる名付けの方法は、親の名前から一文字を取って名付けるということです。
しかし、多くの人はご存知ありませんが、親の名前から一文字を取ることは、姓名判断的にはタブーなのです。
今回は姓名学者の八田靖彦が、どうして親の名前から一文字とって名付けることがタブーなのか、姓名判断の観点からお話いたしましょう。
結婚をした女性たちへ〜子供への名づけについて今から考えておくべき
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私は大学時代、文学部に籍を置きました。在学中は文学部の図書館に通いつめて、戦後直後から所蔵されているような、学外持ち出し禁止の巨大な漢字辞典を紐解き、好きな漢字の研究を独自で行っていました。卒業からだいぶ経ちましたが、当時の同級生が続々と結婚し、子供を持つ年齢になってきています。ときどき、同窓会と称してお茶を飲む時がありますが、その際、同級生の女性が会話の中で「子どもができたら、名前は夫の字を一字取ろうかな」と口に出すことがあります。
待望のお子さんが誕生すると、自分の名前の一字を子どもに与えようとする親御さんは大変多いのではないでしょうか。
歴代の総理大臣も名だたる著名人も、親から一字をもらっているが……
歴代の総理大臣も名だたる著名人も、親の名前から一文字貰って名付けられている方が多くいます。
しかし、子供が親の名前の字から一字をもらうという行為は本来、姓名学の観点からすれば、“タブーの代表格”です。
なぜ、子供に、親の名前の一字を分け与えてはいけないのでしょうか。
“自分を超えてくれるな”という自分勝手なマイナスの想念が込められている
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親が子どもに自分の字の一字を与えるという行為は、もとを辿ると、戦国時代に、主君が合戦で戦功のあった家来に、自分の名前を分け与えた行為(偏諱)に由来しています。
この命名法のもともとの源は、
「どんなに自分に忠誠を誓い、自分の器量を超えないように。謀反など起こさぬように。寝首をかかれぬように」
という、主君側の自己防衛の想念が込められたものでした。
つまり自分より飛び越えてほしくない、自分より活躍しないでほしいというマイナスの想念からくる悪しき作法が源流なのです。よって、現代においても親が子どもに名前の一字を与えるという行為は避けた方が良いと言えます。
マイナスの想念から生まれた発想は、必ず本人やその家系全体に凶作用を及ぼしてゆきます。たとえ地位や財産などの物質的な面で子孫が祖先を追い抜いてみせても、本質的な面での幸福は掴めない場合が多いかもしれません。子孫に無用な凶運を与えないためにも、子どもに自分の名前の一字を与えるのは避けた方がよいと言えるでしょう。
子どもは皆、神様からの贈り物です。
愛される名前を付けて、他人の心の痛みがわかる優しい人間を育ててゆきたいものです。
ぜひ、お子さんに名前をつける際の一考にして頂ければ幸いです。